Heroku の Ruby サポート
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最終更新日 2024年05月31日(金)
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Heroku は Ruby のさまざまな実装で Ruby アプリケーションを実行でき、フレームワーク固有のワークフローのためのサポートを備えています。
このドキュメントでは、Ruby アプリケーションの認識と実行に関連した Heroku の一般的な動作について説明します。フレームワーク固有のチュートリアルについては、次を参照してください。
- Heroku スターターガイド (Ruby)
- Heroku スターターガイド (Rails 7)
- Heroku スターターガイド (Rails 6)
- Heroku スターターガイド (Rails 5)
全般的なサポート
デプロイされるすべての Ruby アプリケーションの種類に対して、次のサポートが提供されます。
アクティベーション
Heroku の Ruby サポートがアプリケーションに適用されるのは、アプリケーションのルートディレクトリに Gemfile
がある場合だけです。アプリケーションに gem 依存関係がない場合であっても、アプリに gem 依存関係がないことを記載した空の Gemfile
を含む必要があります。
デプロイされているアプリケーションの種類に応じて、次のセクションに記載されている特定のアクションが実行され、この動作は次の規則によって決定されます。
Gemfile
がある場合は Ruby アプリケーションを示しますconfig.ru
がある場合は Rack アプリケーションを示しますconfig/environment.rb
がある場合は Rails 2 アプリケーションを示します- 文字列
Rails::Application
を含むconfig/application.rb
がある場合は Rails 3 アプリケーションを示します
ライブラリ
次のライブラリは Ruby アプリケーションを管理および実行するためのプラットフォームによって使用され、指定できません。アプリケーションの依存関係の解決および管理のために、Gemfile.lock
の内容に基づいて Bundler がインストールされます。Gemfile.lock
内に BUNDLED WITH
がある場合、別のバージョンの Bundler を受け取ります。
BUNDLED WITH
1.x は Bundler1.17.3
を受け取ります。BUNDLED WITH
2.0.x ~ 2.3.x は Bundler2.3.25
を受け取ります。BUNDLED WITH
2.4.x は Bundler2.4.22
を受け取ります。BUNDLED WITH
2.5.x 以降は Bundler2.5.6
を受け取ります。
使用可能な設定について詳しくは、Bundler 設定を参照してください。特定の Bundler バージョンのセットのみサポートする理由について詳しくは、Bundler のバージョンに関する記事を参照してください。
環境
次の環境変数が設定されます。
GEM_PATH
=>vendor/bundle/#{RUBY_ENGINE}/#{RUBY_ABI_VERSION}
LANG
=>en-us
PATH
=>bin:vendor/bundle/#{RUBY_ENGINE}/#{RUBY_ABI_VERSION}/bin:/usr/local/bin:/usr/bin:/bin
DISABLE_SPRING
=>1
GEM_PATH
は bundler gem vendor ディレクトリに設定されます。
プロセスタイプ
次の 2 つのプロセスタイプはいつでも使用できます。
rake: bundle exec rake
console: bundle exec irb
ビルド動作
アプリケーションがデプロイされるとき、config
ディレクトリと環境変数 RAILS_ENV
または RACK_ENV
が存在する場合、ビルドフェーズによって、基盤の Rack または Rail アプリケーションがプロビジョニング済みデータベースを使用するように設定されます。 Rails 4.1+ で使われる ActiveRecord 4.1 より前では、database.yml
ファイルが作成されます。 database.yml
ファイルが存在する場合、ActiveRecord 4.1 でファイルが置換されます。 database.yml
ファイルは、DATABASE_URL
環境変数を構文解析することによって出力を動的に作成する Ruby コードとして作成されます。ActiveRecord 4.1+ では、DATABASE_URL
サポートが組み込まれています。詳しくは、データベース接続の設定 およびDATABASE_URL サポートを追加したプルリクエストを参照してください
ビルドの最後に、アプリケーションは rails runner
インターフェースを使用して、潜在的に問題のあるアプリケーション設定がないかチェックされます。
JRuby
JRuby の場合、環境変数 JRUBY_BUILD_OPTS
を設定することによってビルド中に JVM に渡されるオプションをカスタマイズできます。一般的な値は --dev
で、これは Bundler および Rake によって実行されるもののような短いプロセスのランタイムを最適化します。
Ruby バージョン
Heroku では多数の異なる Ruby 実装を使用できます。特定のランタイムを選択するようアプリを設定できます。
新しいアプリについての Ruby のデフォルトバージョン
Gemfile
に ruby
エントリがない場合、MRI 3.1.4
が取得されます。
Ruby のバージョンを指定しない限り、デフォルトの Ruby がアプリに組み込まれています。 たとえば、アプリでデフォルトの Ruby バージョン 3.0.3
を使用している場合、3.0.3
が維持されます。
Gemfile で Ruby バージョンを指定し、デフォルトの Ruby バージョンに依存しないようにすることを強くお勧めします。
サポートされているランタイム
Heroku では、次の Ruby バージョンおよび関連する Rubygem がサポートされています。サポートされているバージョンとは、Heroku のツールおよびプラットフォームが所定のバージョンと連動することを期待できることを意味します。また、技術サポートを受けられることも意味します。サポートされている Ruby のバージョンは次のとおりです。
MRI:
3.1.6
、Rubygems: 3.3.27
3.2.4
、Rubygems: 3.4.19
3.3.2
、Rubygems: 3.5.9
ある Ruby のバージョンが EOL を迎えると、セキュリティパッチが入手できなくなります。Ruby のコアによって積極的にサポートされている Ruby のバージョンを実行することを強くお勧めします。
JRuby:
9.1.17.0
、Ruby のバージョン: [2.3.3
]9.2.21.0
、Ruby のバージョン: [2.5.8
]9.3.14.0
、Ruby のバージョン: [2.6.8
]9.4.7.0
、Ruby のバージョン: [3.1.4
]
JRuby バージョンは、一覧で示す複数の Ruby バージョンをサポートしています。Gemfile でバージョンを指定する必要があります。JRuby は、JRuby と一緒にインストールされている JVM 上で実行します。サポートされている Java バージョンの一覧および特定のバージョンを設定する方法については、Java サポート記事を参照してください。
JVM 環境および使用可能な JVM オプション (JAVA_TOOL_OPTIONS
など) について詳しくは、Heroku の Dev Center の Java サポートを参照してください。
Zulu JDK の使用や jmap
の実行などの高度な JDK オプションについては、アプリの最初の buildpack として heroku/jvm
buildpack を追加する必要があります。
ランタイムの選択
Ruby バージョンを指定する方法についての説明は、Ruby バージョンを参照してください。
アプリが使用する Ruby ランタイム は slug に含められ、slug のサイズに影響します。
Ruby JIT のサポート
JIT は「Just in Time (実行時)」コンパイラの略です。JIT インプリの目的は、より効率的なコードを提供してプログラムの実行を高速化することです。通常は Ruby コードをマシンコードにコンパイルします。JIT を使用するとメモリ消費量が増加します。また、すべてのプログラムが必ず高速化するわけではありません。使用する JIT インプリがアプリコードに適していない場合、JIT を使用するとアプリケーションの速度が低下する可能性があります。
MJIT
Ruby では、Ruby 2.6 で MJIT が導入され、Ruby 3.1 で YJIT が導入されました。MJIT は Heroku で動作しますが、多くの実際のアプリケーションでは速度が向上しないため、推奨されません。
YJIT
YJIT のほうがアプリケーションを高速化できる可能性が高くなっています。Ruby アプリケーションで YJIT を有効にするには、次のコマンドを実行します。
$ heroku config:set RUBYOPT="--enable-yjit"
次に、以下を実行して機能したことを確認します。
$ heroku run bash
~ $ irb
irb(main):001:0> puts RubyVM::YJIT.runtime_stats
{:inline_code_size=>488880, :outlined_code_size=>404622}
サポートされていない Ruby バージョン
以下に、スタックごとに存在するランタイムバージョンの一覧を示します。EOL バージョンは Ruby コアから更新を受け取らなくなったので、Heroku Ruby サポートポリシーの対象ではありません。
heroku-20
スタック上:- 2.5.x (EOL):
2.5.7
~2.5.9
- 2.6.x (EOL):
2.6.6
~2.6.9
- 2.7.x (EOL):
2.7.1
~2.7.8
- 3.0.x (EOL):
3.0.0
~3.0.7
- 3.1.x:
3.1.0
~3.1.4
- 3.2.x:
3.2.0
~3.2.3
- 3.3.x:
3.3.0
- 2.5.x (EOL):
heroku-22
スタック上:- 3.1.x:
3.1.0
~3.1.4
- 3.2.x:
3.2.0
~3.2.3
- 3.3.x:
3.3.0
- 3.1.x:
つまり、2.5.9 は Heroku-20 スタックでは「サポート対象外」ですが、ご自身の責任で引き続き使用できることを意味します。Heroku では、サポートされている Ruby バージョンを使用することを常にお勧めします。
Rails などのライブラリのバージョンが、サポートされている Ruby バージョンで機能しない場合、Rails LTS などのサービスを使用できます。Rails LTS は、古いリリースの維持管理されたバージョンを有料で提供します。Rails LTS プロジェクトは Heroku や Rails Core と提携していません。
Rails バージョンのサポート
Heroku での Rails バージョンのサポートには、Rails Core バージョンのサポートが反映されています。Heroku では、古い Rails バージョンの利用を停止していません。つまり、プラットフォームに今までデプロイ可能だったすべての Rails バージョンが、現在のプラットフォームでも引き続き使用できることを意味します。1 つの制限事項として、ある特定のスタックで使用可能な最も古い Ruby バージョン上で、古いバージョンの Rails が動作することを約束できないということがあります。
たとえば、Rails 3.2 が Ruby 2.4.10 以上で実行できない場合、Rails 3.2 アプリケーションを Heroku-18 スタックで実行することはできません。Heroku は、Ruby と Rails 間のバージョン互換性情報を維持管理していません。
Rails などのライブラリのバージョンが、サポートされている Ruby バージョンで機能しない場合、Rails LTS などのサービスを使用できます。Rails LTS は、古いリリースの維持管理されたバージョンを有料で提供します。Rails LTS プロジェクトは Heroku や Rails Core と提携していません。
Rails Core の正式にサポートされているバージョンや、LTS のサポートされているバージョンを使用していない場合、アプリケーションにはパッチが適用されておらずセキュリティ上の脆弱性がある可能性があります。正式にサポートされている Rails バージョンを常に使用することをお勧めします。
Ruby アプリケーション
純粋な Ruby アプリケーション (headless プロセスや Goliath などのイベント型 Web フレームワーク) は Heroku で完全にサポートされています。
アクティベーション
デプロイされたアプリケーションが純粋な Ruby アプリケーションとして認識された場合、Heroku は -----> Ruby app detected
と応答します。
$ git push heroku master
-----> Ruby app detected
アドオン
2023 年 5 月 15 日より前にアカウントを作成した場合または、Heroku サポートに、アカウントの Heroku Postgres 自動プロビジョニングを有効にするように依頼した場合は、「Ruby データベースの自動プロビジョニング.」を参照してください。
プロセスタイプ
純粋な Ruby アプリケーションが検出された場合、デフォルトの web
プロセスタイプは作成されません。
Rack アプリケーション
Rack アプリケーションは Ruby アプリケーションのように動作することに加えて次のような動作があります。
アクティベーション
ルートレベルの config.ru
ファイルは Rack アプリケーションの存在を指定します。Rack アプリとして認識されるアプリケーションには、デプロイ時に -----> Ruby/Rack app detected
が表記されます。
$ git push heroku master
-----> Ruby/Rack app detected
環境
次の追加の環境変数が設定されます。
RACK_ENV
=> “production”
アドオン
純粋な Ruby アプリと同じアドオンを追加します。
プロセスタイプ
Procfile
を含めない場合、Rack アプリはデプロイ時に Web プロセスタイプを定義します。
web: bundle exec rackup config.ru -p $PORT
Heroku の場合、Web サーバーには Puma をお勧めします。選択した Web サーバーには関係なく、常に本番環境のアプリでは Procfile
に明示的に Web サーバーを指定します。
Bamboo から移行する特殊な場合として、thin
gem をバンドルする Ruby アプリは次の Web プロセスタイプを取得します。
web: bundle exec thin start -R config.ru -e $RACK_ENV -p $PORT
Rails 2.x アプリケーション
アクティベーション
Gemfile.lock
ファイルに rails
gem が含まれており、gem のバージョンが 2.0.0 以上かつ 3.0.0 未満の場合、アプリは Rails 2.x として検出されます。 Rails 2.x アプリとして認識されるアプリには、デプロイ時に -----> Ruby/Rails app detected
が表記されます。
$ git push heroku master
-----> Ruby/Rails app detected
環境
次の追加の環境変数が設定されます。
RAILS_ENV
=> “production”RACK_ENV
=> “production”
アドオン
純粋な Ruby アプリと同じアドオンを追加します。
プロセスタイプ
Procfile
を含めない場合、Rails 2 アプリはデプロイ時に Web プロセスタイプを定義します。
web: bundle exec ruby script/server -p $PORT
Heroku の場合、Web サーバーには Puma をお勧めします。選択した Web サーバーには関係なく、常に本番環境のアプリでは Procfile
に明示的に Web サーバーを指定します。
Bamboo から移行する特殊な場合として、thin
gem をバンドルする Ruby アプリは次の Web プロセスタイプを取得します。
web: bundle exec thin start -e $RAILS_ENV -p $PORT
Rails 2 についての追加のプロセスタイプが宣言されます。
console: bundle exec script/console
さらにアプリに jobs:work
Rake タスクがある場合は、次が指定されます。
worker: bundle exec rake jobs:work
Rails 2 のプラグインインジェクション
- Rails stdout プラグインが挿入されます。
Rails 3.x アプリケーション
アクティベーション
Gemfile.lock
ファイルに railties
gem が含まれており、gem のバージョンが 3.0.0 以上かつ 4.0.0 未満の場合、アプリは Rails 3.x として検出されます。 Rails 3.x アプリとして認識されるアプリには、デプロイ時に -----> Ruby/Rails app detected
が表記されます。
$ git push heroku master
-----> Ruby/Rails app detected
環境
次の追加の環境変数が設定されます。
RAILS_ENV
=> “production”RACK_ENV
=> “production”
アドオン
純粋な Ruby アプリと同じアドオンを追加します。
プロセスタイプ
Procfile
を含めない場合、Rails 3 アプリはデプロイ時に Web およびコンソールのプロセスタイプを定義します。
web: bundle exec rails server -p $PORT
console: bundle exec rails console
Heroku の場合、Web サーバーには Puma をお勧めします。選択した Web サーバーには関係なく、常に本番環境のアプリでは Procfile
に明示的に Web サーバーを指定します。
Bamboo から移行する特殊な場合として、thin
gem をバンドルする Ruby アプリは次の Web プロセスタイプを取得します。
web: bundle exec thin start -R config.ru -e $RACK_ENV -p $PORT
コンパイルフェーズ
コンパイルフェーズの最後のタスクとして、assets:precompile
Rake タスクが実行されます。このタスクはすべてのアセットをコンパイルして公開ディレクトリに配置します。詳細については、「Heroku での Rails アセットパイプライン」を参照してください。
Rails 3 のプラグインインジェクション
- Rails stdout プラグインが挿入されます。
- 静的アセットプラグインが自動的に挿入されます。
rails_12factor
gem を含めた場合、プラグインインジェクションはまったく実行されません。すべての設定は gem を介して行われます。重複するログが表示される原因となる開発環境でのバグを避けるために、この gem を :production
グループに配置します。このバグは後のバージョンの Rails で修正されています。
Rails 4.x アプリケーション
アクティベーション
Gemfile.lock
ファイルに railties
gem が含まれており、gem のバージョンが 4.0.0 ベータ以上かつ 5.0.0 未満の場合、アプリは Rails 4.x として検出されます。 Rails 4.x アプリとして認識されるアプリには、デプロイ時に -----> Ruby/Rails app detected
が表記されます。
$ git push heroku master
-----> Ruby/Rails app detected
環境
次の追加の環境変数が設定されます。
RAILS_ENV
=> “production”RACK_ENV
=> “production”
アドオン
純粋な Ruby アプリと同じアドオンを追加します。
プロセスタイプ
Procfile
を含めない場合、Rails 4 アプリはデプロイ時に Web およびコンソールのプロセスタイプを定義します。
web: bundle exec bin/rails server -p $PORT -e $RAILS_ENV
console: bundle exec bin/rails console
Heroku の場合、Web サーバーには Puma をお勧めします。選択した Web サーバーには関係なく、常に本番環境のアプリでは Procfile
に明示的に Web サーバーを指定します。
コンパイルフェーズ
assets:precompile
Rake タスクが定義されていて、public/assets/manifest-*.json
ファイルがない場合、コンパイルフェーズの最後のタスクとして、assets:precompile
Rake タスクが実行されます。このタスクはすべてのアセットをコンパイルして公開ディレクトリに配置します。Rake 検出またはアセットコンパイルのタスクが失敗した場合、デプロイも失敗します。 詳細については、「Heroku での Rails アセットパイプライン」を参照してください。
Rails 4 のプラグインインジェクション
Rails 4 はプラグイン機能をサポートしなくなったため、Heroku の Rails 4 のサポートによる挿入は行われません。 ただし、rails_12factor
gem を含めない場合、警告が発生します。 この gem はプラグインの必要性に取って代わるもので Rails 4 が Heroku 上で実行するために最適に設定されるようになります。
Rails 5.x アプリケーション
アクティベーション
Gemfile.lock
ファイルに railties
gem が含まれており、gem のバージョンが 5.0.0 ベータ以上かつ 6.0.0 未満の場合、アプリは Rails 5.x として検出されます。Rails 5.x アプリとして認識されるアプリには、デプロイ時に -----> Ruby/Rails app detected
が表記されます。
$ git push heroku master
-----> Ruby/Rails app detected
環境
次の追加の環境変数が設定されます。
RAILS_ENV
=> “production”RACK_ENV
=> “production”RAILS_LOG_TO_STDOUT
=> “enabled”RAILS_SERVE_STATIC_FILES
=> “enabled”
アドオン
純粋な Ruby アプリと同じアドオンを追加します。
プロセスタイプ
Procfile
を含めない場合、Rails 5 アプリはデプロイ時に Web およびコンソールのプロセスタイプを定義します。
web: bundle exec bin/rails server -p $PORT -e $RAILS_ENV
console: bundle exec bin/rails console
選択した Web サーバーには関係なく、常に本番環境のアプリでは Procfile
に明示的に Web サーバーを指定します。
コンパイルフェーズ
assets:precompile
Rake タスクが定義されていて、public/assets/manifest-*.json
ファイルがない場合、コンパイルフェーズの最後のタスクとして、assets:precompile
Rake タスクが実行されます。このタスクはすべてのアセットをコンパイルして公開ディレクトリに配置します。Rake 検出またはアセットコンパイルのタスクが失敗した場合、デプロイも失敗します。 詳細については、「Heroku での Rails アセットパイプライン」を参照してください。
Rails 5 のプラグインインジェクション
Rails 5 はプラグイン機能をサポートしなくなったため、Heroku の Rails 5 のサポートによる挿入は行われません。以前の Rails 4 では、ロギングおよび静的ファイルサービスを有効化するために gem rails_12factor
が必要でした。新しいアプリケーションはそのまますぐに動作します。アプリケーションをアップグレードする場合、「Heroku スターターガイド (Rails 5.x)」を参照してください。
Rails 6.x アプリケーション
Rails 5.x アプリケーションと同じです
Rails 7.x アプリケーション
Rails 6.x アプリケーションと同じです
Node.js のサポート
多くの Ruby アプリケーションでは Node エコシステムのツールを使用してフロントエンドのアセットを生成します。これらのアプリケーションをサポートするために、Heroku では heroku/nodejs
buildpack を heroku/ruby
buildpack より前に配置し、Node の依存関係をインストールすることを推奨しています。この順序を確認するには、次のコマンドを実行します。
$ heroku buildpacks
=== polar-inlet-4930 Buildpack URLs
1. heroku/nodejs
2. heroku/ruby
アプリケーションが heroku/nodejs
buildpack を使用していない場合は、次のコマンドで追加できます。
$ heroku buildpacks:add heroku/nodejs -i 1
次に、heroku buildpacks
を再度実行して、heroku/nodejs
が heroku/ruby
より前にあることを確認します。インストールされた Node と Yarn のバージョンを、ご使用のアプリケーション向けに heroku/nodejs
buildpack でカスタマイズするには、それらを package.json
ファイルで指定します。次に例を示します。
{
"engines": {
"node": "20.9.0",
"yarn": "1.22.19"
}
}
インストールされている Node バージョンの設定についての詳細は、Dev Center の「Heroku の Node.js サポート」記事を参照してください。
アプリケーションが heroku/nodejs
buildpack を使用していないのにアプリケーションのルートに execjs
gem または package.json
ファイルがある場合、Ruby buildpack は Node のデフォルトバージョンをインストールします。webpacker
gem または yarn.lock
ファイルがある場合は、アプリは Yarn のバージョンを受け取ります。
Node.js buildpack が使用されていない場合、heroku/ruby
でインストールされるバージョンは次のとおりです。
- Node: 20.9.0
- Yarn: 1.22.19
デフォルトのバージョンは時間と共に変わるため、この動作に長期的に頼ることはお勧めしません。アプリケーションの Node または Yarn のバージョンを制御するには、heroku/nodejs
buildpack をアプリケーションに追加する必要があります。
インストールされるバイナリ
Ruby バイナリとそれに付属するデフォルトのツール (Rubygems や Bundler など) に加えて、一部のアプリケーションでは、アプリケーションを実行するために追加のバイナリが必要です。Heroku ではこのような依存関係をインストールするには明示的な buildpack を使用することを強く推奨していますが、heroku/ruby
buildpack が追加のバイナリをインストールする場合もあります。このセクションでは、インストールされるバイナリとその条件を紹介します。
アプリケーションのルートに package.json
があり、過去の node
バイナリがパス上に見つからない場合、Ruby buildpack は Node.js のデフォルトバージョンをインストールします。詳細は、heroku/ruby
の Node.js のサポートセクションを参照してください。yarn.lock
ファイルがアプリケーションのルートにあり、過去の yarn
バイナリがパス上に見つからない場合、Yarn のバージョンがインストールされます。詳細は、heroku/ruby
の Node.js のサポートセクションを参照してください。
挿入されたプラグイン
デフォルトでは、アプリケーションが Heroku プラットフォームを最大限に活用できるようにするために、Heroku は Rails 3.x アプリケーションのプラグインを挿入します。 挿入可能な 2 つのプラグインは、rails_stdout_logging
と rails3_serve_static_assets
です。Rails 3 でこれらが挿入されることを防ぐには、アプリケーションの Gemfile に rails_12factor
gem を含めます。
gem 'rails_12factor'
Stdout
rails_stdout_logging
gem によって、ログは標準出力に確実に送信されます。
Heroku ではログはファイルではなく、イベントのストリームとして扱われます。ログを stdout にパイプすることで、ログは Logplex によって複数の dyno から取り込まれて統合され、それによりログはコマンドライン $ heroku logs --tail
またはロギングアドオンから利用できるようになります。
静的アセット
rails3_serve_static_assets
gem により、Web プロセスは静的アセットを処理できます。
デフォルトの Rails 開発環境では、アセットは sprockets と呼ばれるミドルウェアを介して処理されます。ただし本番環境で、Heroku 以外のほとんどの Rails デプロイメントでは、サイトのロードバランシングを行い静的ファイルを直接処理できる Nginx などの HTTP リバースプロキシサーバーの背後に Ruby サーバーを設置します。Nginx は /assets/rails.png
などのアセットのリクエストを認識すると、ディスクの /public/assets/rails.png
からアセットを取得して処理します。Rails サーバーはリクエストを認識しません。
Heroku では、アプリケーションの実行に Nginx は必要ありません。水平にスケールアウトするとき、Heroku のルーティングレイヤがロードバランシングを処理します。使用するアプリケーションがエッジキャッシュ CDN を通じて静的アセットを処理する場合、Nginx のキャッシュ動作は必要ありません。
デフォルトでは、アセットが Nginx などの外部プロキシを介して処理されない場合、Rails 4 は 404 を返します。このデフォルトの動作は Nginx 設定のデバッグに役立ちますが、アセットを持つデフォルトの Rails アプリが Heroku 上で使用できなくなります。これを修正するために、gem rails_serve_static_assets
が公開されています。
この rails_serve_static_assets
という gem により、Rails サーバーは 404 を返す代わりにアセットを配信できるようになります。この gem を使用して、エッジキャッシュ CDN に入力したり、Web アプリからファイルを直接提供したりすることができます。この gem により、アプリによる完全な制御が可能になり、リダイレクトや Ruby コードのヘッダーの設定などができるようになります。この動作をアプリで有効にするには、次に示す 1 つの設定オプションを設定します。
config.serve_static_assets = true
この設定は gem が実行するため、このオプションを設定する必要はありません。これで、アセットの処理方法をアプリケーションが制御できるようになります。
デバッガ gem のインストールの失敗
実行先の Ruby の特定のパッチレベルを必要とする gem がいくつか存在します。このことにより、Ruby の特定のパッチレベルに固定され、セキュリティ修正を受け取るようにアップグレードできなくなるため、本番アプリにとって不利益となります。
Heroku では、Ruby バージョンのセキュリティパッチが Ruby コアから使用できるようになると、セキュリティパッチがリリースされます。Ruby バージョンをアップグレードした後、アプリは次回デプロイ時に新しいバージョンを取得します。アプリがこれらのいずれかの gem を使用していた場合、使用中の Ruby のバージョンをアップグレードすると、gem をインストールするときにエラーが表示されます。エラーは次のように表示されることがあります。
Installing debugger-linecache
Gem::Installer::ExtensionBuildError: ERROR: Failed to build gem native extension.
あるいは、次のように表示されます。
Installing debugger
Gem::Installer::ExtensionBuildError: ERROR: Failed to build gem native extension.
この問題を回避する最も良い方法は、debugger
またはその他のデバッグ用 gem を本番環境で使用しないことです。これらの gem は、実行中のコードを動的に停止して検査するために、言語の低レベルコンポーネントに接続するように設計されています。debugger
を本番環境にインストールしないでください。その代わりに、これらの gem を Gemfile
の development
グループに移動します。
group :development do
gem "debugger"
end
その後、bundle install
を実行し、Git にコミットして再デプロイします。